人を動かす立場であるならば知らないと逆効果〜ルールを守ってもらう為に必要な社会的証明の原理〜

あなたは流行に敏感ですか?それとも鈍感ですか?

というのも今回は社会的証明の原理についてみていきます。

社会的証明とは

特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、それが正しいと判断してしまう心理原則になります。

例えば、Amazon、食べログで評価が高いものは良いものだと考えたりや、テレビで笑い声があるとなんとなく面白くなったりする。

これなんかは社会的証明の原則が関与しています。

社会的証明のおかげで大抵の場合は多くの人が行っている行動を取るため、間違いを犯すことが少なく、手っ取り早く意思決定を行うことができる代物です。

しかしそれは同時に欠点でもあり、この原理原則のおかげで間違いを犯してしまうこともあるのです。

例えば、ポイ捨てが多く行われていたりする街では、多くの缶やタバコのゴミが捨てられ、それを見た人がまたゴミを捨てるといった悪循環も起こすことが可能です。

これなんかも社会的証明の原則になります。

社会的証明は諸刃の剣と言っても過言ではないのです。

では良いことをさせたいときに社会的証明の原則を活用するにはどのようにすると良いかを見ていきましょう。

ネガティブな社会的証明は知らないと逆効果

これはアリゾナ州の化石の森国立公園で効果的に伝える方法を調べた研究です。

というのも、このアリゾナ州の化石の森国立公園では、化石木のかけらというものを盗んでいる被害が出ていたようです。

そこでどうやって盗難を防ぐのかという話の研究になります。

方法は

①「これまでに訪れた多くの人が、公園を化石木を持ち出したために化石の森の環境が変わってしまいました」という看板を設置 群

②「公園から化石木を持ち出さないでください。化石の森を守るためです。」という看板を設置 群

③何もしない群

これを遊歩道ごとに入り口に立てる看板を変えて盗まれた数を調べると言ったものになります。

結果は

①「これまでに訪れた多くの人が、公園を化石木を持ち出したために化石の森の環境が変わってしまいました」という看板を設置 群  7.92%

②「公園から化石木を持ち出さないでください。化石の森を守るためです。」という看板を設置 群 1.67%

③何もしない群 2.92%

面白いですよね。

①の群が③何もしない群に比べて3倍近く盗む確率が上がってしまったのです。

研究者の見解では、①は多くの人が盗んだことを示してしまったことで、それが社会的証明になってしまったとのこと。

このように好ましくないことをしているしていることを強調すると、むしろ好ましくない行動をする人が増えてしまうということです。

何かを説得したいのであれば、ネガティブな社会的証明は伝えずにその場でどのように行動すべきか、すべきではない行動に焦点を向けなければなりません。

うちの病院では、「この手技の勉強を皆さんわかっていません、していません」など管理者が言ってしまうため、うちの職場のスタッフは余計にしなくなってしまうわけです。(笑)

うちの職場のケースでは「最近はこの手技を使う人が7割位増えて復帰率が上がっています。これからもお願いします。」なんて伝えたほうが、説得力は上がるわけです。

あなたの職場はどうですか?

意外とやってしまってる方は多いと思います。

伝え方一つで良い方にも悪い方にも変わります。ぜひ良い方に伝えてみてください。

参考文献

R.B. Cialdini, L.J. Demaine,B.J. Sagarin, D.W. Barrett, K. Rhoads, P.L. Winter:Managing social norms for persuasive impact,social Influence,1:3-15:2006

クリックしてpsw_2006_winter001.cialdini.pdfにアクセス

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