あなたの患者さんは膝関節を痛がってはいませんか?
ということで膝関節第三弾でございます。
前回は滑液包と脂肪体、半月についてまとめていきました。
半月や滑液包によって衝撃を吸収することや摩擦の軽減について見ていきました。
今回のタイトルでもある〇〇とは、、、、
関節包です。
関節包っていうのはあなたも聞いたことあるとは思いますが、明確に答えることはできますか?
私は答えれませんでしたが、調べていったら面白いことを知ることができました。
基礎的な内容ですがとても重要なことをお伝えできたらと思います。
今回は膝関節の関節包をメインに見ていきますが、筋肉、靭帯との関与も多いのでしっかり見ていきましょう。
用語も整理しながら見ていきますよー。
膝が痛い人は何で痛がっているのか?
まず関節包について見ていきましょう。
関節包とは関節を包み込む外層の線維膜と内層にある滑膜を二つからなります。
※本によって、関節包は外層の線維膜だけをさして関節包という場合があります。
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関節包の線維膜は、強くて丈夫な膜になり、神経に富んでいるのが特徴です。
線維膜にはパチニ小体、ルフィニといった深部覚に影響を与える組織がありますが、自由神経終末といった痛覚を感知してしまう神経も持っています。
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内層の滑膜は血管に富む結合組織で、滑液の分泌と吸収を行ってくれています。
滑液は関節軟骨に栄養を与え、関節表面の摩擦を軽減する役割がありましたね。
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まとめると、 関節包内には滑液があり、関節軟骨に栄養を与えること、関節表面の摩擦を軽減することが出来る。 しかしそれができなくなったときには、摩擦の軽減、栄養供給ができない。 軟骨がすり減った残りカスは炎症物質となって浮遊し、線維膜が痛みを感じてしまうし、深部感覚がわかりにくくなっちゃうよってことなんですよね。
では膝関節にある関節包にはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
膝関節の関節包と靭帯、筋の影響
膝関節の関節包は5つあります。
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膝関節には前方、外側、後方、後外側、内側に関節包が存在し、関節包が脛骨大腿関節と膝蓋大腿関節を包み込んでくれています。
そして関節包は靭帯や筋肉、腱などの軟部組織によって補強されています。
逆にいうならば補強が弱いと関節包には負担がかかる、要するに痛みが出現してしまうのです。
なので痛みが出ているのが、前なのか、外側なのか?はたまた後ろなのかなどどの関節包に負担がかかっているのかを見極めることができれば、靭帯、筋、腱の治療によって改善が見込めるということなのです。
たくさんありますが、しっかり見ていきましょう。
※最後にまとめてあります。早く見たい方はそちらをぞうぞ
まず前方からいきます。
前(方)関節包は、膝蓋骨の辺縁と膝蓋腱に付着し、大腿四頭筋や内側と外側の膝蓋支帯線維によって補強されています。
この支帯線維というのは外側広筋や内側広筋、腸脛靭帯を覆う結合組織の延長になります。
このような広範囲に線維があり、大腿骨、脛骨粗面、膝蓋骨、大腿四頭筋と膝蓋腱、側副靭帯半月との間で連結しています。
次に外側部を見ていきましょう。
外側関節包は、外側(腓側)側副靭帯、外側膝蓋支帯線維、腸脛靭帯によって補強されています。
また大腿二頭筋、膝窩筋腱、腓腹筋外側頭など筋によって安定性を得ています。
次は後方です。
後方の関節包(後関節包)は斜膝窩靭帯と弓状膝窩靭帯によって補強されています。
斜膝窩靭帯は後内側関節包や半膜様筋腱から内側に起始しています。
この線維は大腿骨外側顆の傍を走り、関節包と融合しています。
脛骨が大腿骨に対して自然に相対的にわずかに外旋しているときに、この靭帯は膝関節の完全伸展で引っ張られてて緊張してしまいます。
弓状膝窩靭帯は腓骨頭に起始して二つの部分に分かれます。
大きく突出した部分は膝窩筋腱を横切り、脛骨の後方顆間部に付着し、小さい部分は大腿骨外側顆の後方部につき、腓腹筋外側頭内に埋没している種子骨に付着します。
後関節包は膝窩筋、腓腹筋、ハムストリングス、とくに半腱様筋腱の延長線維によってさらに補強されます。
後関節包は重要な役割を持っており、これらの筋と後関節包がないと膝関節の過伸展を制限することができません。
次は後外側です。
後外側関節包は弓状膝窩靭帯、外側側副靭帯、膝窩筋、膝窩筋腱によって補助されています。
これらの組織をひとまとめにして、弓状複合体と呼びます。
最後に内側関節包です。
内側関節包は膝蓋腱から後方関節包まで様々な厚さで伸びている。
その前方1/3は内側膝蓋支帯によって補強された薄い膜の層からなります。
関節包の中間1/3は連続した内側支帯とより本格的に内側側副靱帯の浅層と深層線維によって補強されています。
関節包の後方1/3は比較的厚く、内転筋結節の近くから起始、半膜様筋の腱様の展開部と融合し、後関節包と隣接する。
内側関節包の後ろ1/3は後内側関節包という名称は後斜走靭帯という区別された構造として記述されていることもあるので注意です。
後内側関節包は縫工筋、薄筋、半腱様筋のまとめた鵞足と呼ぶ連結した腱によって補強されます。
内側関節包の後ろ2/3とその関連構造は膝関節の安定性の重要な源となっている。
まとめはこちらです。
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この表を見て痛みが出ている場所を特定後にそこにある筋肉、靭帯にアプローチをして疼痛をなくしていきましょう。
靭帯は自身では伸び縮みする構造物ではないので特に筋肉、腱に対してアプローチすること良いかと思います。
今回はここまで、
痛みを取れるセラピストはすごく感謝されます。私も頑張ります。興味があればこちらもどうぞ。
参考文献
筋骨格系のキネシオロジー 嶋田智明ら 医歯薬出版株式会社 2012 p 573−575
骨格筋の形と触察法 川上敬介ら 大峰閣 1998 p205−203
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のための解剖学 渡辺正仁 株式会社 廣川書店 ;2008 p149−151
ヒューマン・アナトミー・アトラス 2020