認知行動療法;実際にやること

認知行動療法の考え方について前回お話しせていただきました。

今回はさらに掘り下げて実際のどのように進めていくかを見ていけたらとおもいます。

実際にやること

認知行動療法理論は、運動療法などリハビリテーションプログラムに応用、組み合わせることで相乗効果を高めようとするものになります。

慢性疼痛治療の共通のする目的は、活動促進と認知の訂正(認知の再構成)であります。

以前もお伝えしましたがあくまで意識をどのように変えていくかという話になります。

運動療法は、行動医学的・心理学的アプローチと同様のメカニズムによって、同等の精神心理状態の改善を引き出します。

次世代の運動療法は筋トレだけでなく、疼痛緩和・情動を変化させる脳トレとでも呼ぶべきものであり、認知行動療法や教育のなかで学習しながら患者の主体的な取り組みが重要となります。

したがって、活動促進と認知再構成のために、認知行動療法理論に基づく運動活動のセルフコントロールプログラムが必要となります。

実際にやることはExercise(運動) Education(教育)※ Pacing(ペーシング)になります。

※ペーシングとは身体活動や運動のペース配分を行うこと。活動と休息を計画立てて配分することを意味する。

まず、患者の運動の※アドヒアランスを良好にして、維持してもらうこと。

※アデヒランスとは患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その結果に従って治療を行うこと、つまり患者自身の治療への積極的な参加を意味する。

自発的に動こうとするということは鎮痛効果が高くなります。

これは以前話しましたが、自発的に動くこと自体が報酬になるため、より良いということになります。

詳しくはこちら

https://onlineprerehabilitations.com/2019/09/24/%e7%97%9b%e3%81%bf%e3%81%ab%e6%89%93%e3%81%a1%e5%8b%9d%e3%81%a6%e3%80%9c%e8%84%b3%e5%a0%b1%e9%85%ac%e7%b3%bb%e3%81%ae%e6%b4%bb%e6%80%a7%e5%8c%96%e3%81%af%e3%81%a9%e3%81%ae%e3%82%88%e3%81%86%e3%81%aa/

それと並行して、運動の意義、不安の払拭のために患者教育を徹底すること、そして具体的な運動プログラムとペーシングを設定することが重要になります。

運動は、難しすぎず、がんばればできそう、やりたくなるもので、ゴールに近づき直結するものにしていきましょう。

患者教育では、reassurance(安心感・保証を与える)を徹底する。

同時に、運動導入、開始時には痛みが起こり得るが、従来の痛みが増悪するわけでなく、過去にも経験したことのある筋肉痛のようなもので長く続かないことも前もって伝え(不安を取り除くように)、その対処法についても助言していきましょう。

ペーシングは物足りない程度の低負荷・短時間の運動を頻繁に行うことから始め、増量することよりも継続できる(アドヒアランスを維持する)ことを大前提としていきます。

あなたはダイエットに失敗したことはありますか?

初めから気合を入れすぎると人は継続できないのです。簡単なことから始めて継続していくことがとても重要になります。

みなさんが歯磨きするときに努力しないことと一緒なレベルくらい楽チンなものを提供すると実施してもらえやすいです。

いずれにしても患者の自己決定が最重要になります。

実際のリハビリの流れ

慢性疼痛医療の第一歩は、患者のなりたい姿を想定し、そこに近づくためにセルフエクササイズ実践してもらうことになります。

ゴール設定は半年〜1年後に痛みが軽減していたとしたら、どうありたいか、各自の社会参加、社会的役割(例;仕事復帰、趣味再開、社会参加、家事遂行、外周頻度増加など)の復帰が第一目的であり、この長期目標をまず決めていきます。

非現実的であったり、無謀すぎるものは避けたほうがいいです。(家の中でしか動けていない人がフルマラソンをすることが目標など)

長期目標を達成するために、その間の期限を刻み、1ヶ月ごとに「できるようになっておくべき活動・行動」を短期目標を据えていきましょう。

短期目標は些細なことでも実現可能なものとし、それを積み重ねるようにすることが重要になります。

例えば、歩行の距離、時間、頻度を増やす。手すりなしでの階段昇降、カートの使用による物の運搬なんかいいかもしれませんね。

次に、目標を達成するための運動プログラムを決めていきます。

プログラムは、仕事や家事、家庭内・社会的役割につながる物で着実に実践・継続できる運動のFITT(頻度、強度、時間、種類)をペーシングとして決定していきます。

プログラムがよかったのか悪かったのかは必ずフィードバックをして次の短期目標を計画し、そのための運動プログラムを見直してください。

できた運動は確実に継続できるようになれば、強度・頻度を増やす。できた作業・家事・役割は種類を増やす。

趣味の再開に向けた具体的な運動プログラムを導入する。

これらの設定も患者が納得したうえで自己決定を促すことが鎮痛を起こす際には必要になります。

とこんな認知行動療法はこんな感じになります。

しかし、前回も言いましたが、オペラント条件付けされて患者はなかなか心配されることを報酬としてしまう方も多いのでそのオペラント条件付けについて次回は見ていけたらとおもいます。

今後は少し心理学の話もしていけたらとおもいます。

心理学はビジネスでもリハビリ拒否や上司の説得にも利用することが可能です。

それではまた。

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